更新7/18/2003
「今週はベタvol.06
「臨場感・リアリティ?」


基本的にはアメリカのテロ報復戦争に反対する方向で
平和を考えているキャンペーンです。
今起こりつつある戦争に関心があり
何処にアクセスしたらいいのか解らない人には
アクションを起こすための一つの選択肢かもしれません。

このページはずいぶん下まで長いものになっています
パリの友人から送られてきた
転送メール(アフガニスタンを脱出した国連関係の千田さんという日本人の手記)と
写真家・大野純一氏のホームページに掲載されていたスーザン・ソンタグのコラムを
転載してあります。
長いけれど、特にスーザン・ソンタグの文章は、アメリカ人が書いたモノと言うことも含め
興味深く同感するモノでした
是非一読していただけることを願っております。
転送メールについては、世界中の日本人の間を巡り巡っているようです。
パリに1年間、留学している別の友人に転送したら
彼女は同じメールをニューヨークの友達からも受け取ったとのこと
ほかにも何通かのメール、メッセージ、アクションへのお誘いを受け取っています。
ネット上では、世界は反戦一色のように見えるのに・・・

「今週のポラ」04で、少し書いたTV画面を写したベタ焼きを
「今週はベタ」として掲載しようと思う。
その心は、04で書いたときと何も変わっていない
転載文でご紹介したスーザン・ソンタグの文章が
ボクの想いを上手く書いてくれていることに
意を強くしたぐらいのことだ。
グローバル・ピース・キャンペーンについては、
リンクを張ってあるがボクがそれに積極的というわけではない。
何かすべきだと考える人に、一つの選択肢をご紹介しただけ
もちろんその活動に否定的な気持ちを持っているわけもない。
ボクのべた焼きをよーく見て欲しい。
パレスチナでアメリカをおそったテロに歓声を上げる子供の映像
そして、3列3行のド真ん中のコマのテレビ画面の左に白く光るモノ
女性の体をかたどったボディーがある、ボクのベッドサイドの風景だ。
それがなんだ? 何でもない。
不謹慎のそしりを受けることを覚悟して正直に言おう
ボクはアメリカの理性、知性、その正義感に共感を覚えるモノだが
あのペンタゴンがあんなにたやすく燃え上がるのを見るのは痛快だった。
これも、無責任な感想だ
アメリカ大統領・ブッシュよりも
オサマ・ビン・ラディンの方が知的に見える
タリバンのオマル師の方が知的に見える
それは理性とか論理ではなく感性の反応だ
そして、オマル師の出した声明はもっともなことばかり。
そんなことを言いにくい社会が、今できつつあることが嫌だ
以下転送されてきたメール

お元気でしょうか。
不躾ながら、友人より送られてきたアフガニスタンからの手紙を
転送させて戴きます。
一人でも多くの方に読んでいただきたいとの本人の希望により
このように紹介させて戴く次第です。

国連難民高等弁務官カンダハール事務所で働いている
千田悦子(ちだ・えつこ)さんという方の手記です。
千田さんは、オサマ・ビン・ラディン氏をかくまっているとされる
タリバンの本拠地に対するアメリカの軍事行動等による
降りかかるであろう危険を避けるため、
一 時的に勤務先をパキスタンに移転するという措置で
「避難」をしているところですが、
その緊急避難の最中にしたためた手記です。
次の通り、何ら参考まで送付させて戴きます。
 五十嵐 晃。

 報道機関の煽る危機感

 9月12日(水)の夜11時、カンダハールの国連のゲストハウスで
アフガニスタンの人々と同じく眠れない夜を過ごしている。
私のこの拙文を読んで、一人でも多くの人が
 アフガニスタンの人々が、(ごく普通の一人一人のアフガン人達が)、
どんなに不安な気持ちで9月11日(昨日)に起きた
アメリカの4件同時の飛行機ハイジャック襲撃事件を受け止めているか
少しでも考えていただきたいと思う。
テレビのBBCニュースを見ていて心底感じるのは 
今回の事件の報道の仕方自体が政治的駆け引きであるということである。
特にBBCやCNNの報道の仕方自体が根拠のない不安を世界中にあおっている。
事件の発生直後(世界貿易センターに飛行機が2機突っ込んだ時点で)
BBCは早くも、未確認の情報源よりパレスチナのテログループが犯行声明を行ったと
テレビで発表した。
それ以後 事件の全貌が明らかになるにつれて 
オサマ.ビン.ラデンのグループの犯行を示唆する報道が急増する。
その時点でカンダハールにいる我々はアメリカがいつ根拠のない報復襲撃を 
また始めるかと不安におびえ、明らかに不必要に捏造された治安の危機にさらされる。
何の捜査もしないうちから、一体何を根拠にこんなにも簡単に
パレスチナやオサマ・ビン・ラビンの名前を大々的に報道できるのだろうか。
そしてこの軽率な報道がアフガンの国内に生活をを営む大多数のアフガンの普通市民
人道援助に来ているNGO(非政治組織)NPOや国連職員の生命を
脅かしていることを全く考慮していない。
 1998年8月にケニヤとタンザニアの米国大使館爆破事件があった時、
私は奇しくも ケニヤのダダブの難民キャンプで
同じくフィールドオフィサーとして働いており
ブッシュネル米国在ケニヤ大使が爆破事件の2日前
ダダブのキャンプを訪問していたという奇遇であった。
その時も物的確証も無いまま 
オサマ・ビン・ラデンの事件関与の疑いが濃厚という理由だけで
アメリカ(クリントン政権)はスーダンとアフガニスタンにミサイルを発射した。
スーダンの場合は、製薬会社、アフガンの場合は遊牧民や通りがかりの人々など
大部分のミサイルがもともとのターゲットと離れた場所に落ち
罪の無い人々が生命を落としたのは周知の事実である。
まして標的であった軍部訓練所付近に落ちたミサイルも
肝心のオサマ・ビン・ラデンに関与するグループの被害はほぼ皆無だった。
タリバンやこうした組織的グループのメンバーは発達した情報網を携えているので
いち早く脱出しているからだ。
前回のミサイル報復でも
結局 犠牲者の多くは子供や女性だったと言う。
我々国連職員の大部分は 今日緊急避難される筈だったが天候上の理由として
国連機がカンダハールに来なかった。
ところがテレビの報道では「国連職員はアフガニスタンから避難した。」と
既に報道している。
報道のたびに「アメリカはミサイルを既に発射したのではないか。」という不安が募る。
アフガニスタンに住む全市民は 
毎夜この爆撃の不安の中で日々を過ごしていかなくてはいけないのだ。
更に、現ブッシュ大統領の父、前ブッシュ大統領は1993年の6月に 
同年4月にイラクが同大統領の暗殺計画を企てた、というだけで
同国へのミサイル空爆を行っている。
世界史上初めて、「計画」(実際には何の行動も伴わなかった?)に対して
実際に武力行使の報復を行った大統領である。
現ブッシュ統領も今年(2001年)1月に就任後 
ほぼ最初に行ったのが イラクへのミサイル攻撃だった。
これが単なる偶然でないことは明確だ。
更にCNNやBBCは はじめからオサマ・ビン・ラデンの名を引き合いに出しているが
米国内でこれだけ高度に飛行システムを操り
テロリスト事件を起こせるというのは大変な技術である。
なぜ アメリカ国内の勢力や、日本やヨーロッパのテロリストのグループ名は
一切あがらないのだろうか。他の団体の策略政策だという可能性は無いの か?
国防長官は早々と 戦争宣言をした。
アメリカが短絡な行動に走らないことをただ祈るのみである。
それでも 逃げる場所があり 明日避難の見通しの立っている我々外国人は良い。
今回の移動は 正式には 避難(Evacuation)と呼ばずに 
暫定的勤務地変更(Temporary Relocation)と呼ばれている。
ところがアフガンの人々は一体どこにンにも矛先を向けるかもしれない。
前回のミサイル攻撃の時は オサマ・ビン・ラデンが明確なターゲットであったが
今回の報道はオサマ・ビン・ラデンを擁護しているタリバンそのものも槍玉にあげている。
タリバンの本拠地カンダハールはもちろん、
アフガニスタン全体が標的になることはありえないのか? 
アフガニスタンの人々も タリバンに多少不満があっても
20年来の戦争に比べれば平和だと思って積極的にタリバンを支持できないが 
特に反対もしないという中間派が多いのだ。

世界が喪に服している今、思いだしてほしい。
世界貿易センターやハイジャック機、ペンタゴンの中で亡くなった人々の家族が
心から死を悼み 無念の想いをやり場の無い怒りと共に抱いているように
アフガニスタンにも たくさんの一般市民が今回の事件に心を砕きながら住んでいる。
アフガンの人々にも嘆き悲しむ家族の人々がいる。
世界中で ただテロの"疑惑"があるという理由だけで
嫌疑があるというだけで、ミサイル攻撃を行っているのは アメリカだけだ。
世界はなぜ こんな横暴を黙認し続けるのか。
このままではテロリスト撲滅と言う正当化のもとに 
アメリカが全世界の"テロリスト"地域と称する国に
攻撃を開始することも可能ではないか。

この無差別攻撃や ミサイル攻撃後に 一体何が残るというのか。
又 新たな報復、そして 第2,第3のオサマ・ビン・ラデンが続出するだけで
何の解決にもならないのではないか。
オサマ・ビン・ラデンがテロリストだからと言って
無垢な市民まで巻き込む無差別なミサイル攻撃を
国際社会は何故 過去に黙認しつづけていたのか。
これ以上 世界が 危険な方向に暴走しないように
我々も もう少し 声を大にしたほうが良いのではないか。
アフガンから脱出できる我々国連職員はラッキーだ。
不運続きのアフガンの人々のことを考えると
心が本当に痛む。
どうかこれ以上災難が続かないように 今はただ祈っている。
そしてこうして募る不満をただ紙にぶつけている。

千田悦子   2001年9月13日 筆

「手記」はできるだけ広範囲の方々に読んでもらいたい、ということですので、他の
方に紹介してくださってけっこうです。

オリジナルの文章が掲載されている大野純一「東京サーカス」のページへ跳ぶ
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スーザン・ソンダク




70年代には写真評論なども執筆したスーザン・ソンダクの最も最新の書き物がたまちゃんよりメールで送られてきた。
スーザン・ソンダクの著書の中で自分が最も印象に残っている部分は彼女が幼少の頃、
両親と訪れた書店で見た一枚の戦争を撮った写真のこと。
幼かった彼女はそのたった一枚の写真で幼少期のユートピア世界から現実へ連れ出されたと言う。
世界はユートピアでないという、たったひとつの真実を、幼少期の彼女に理解させた暴力的な力。
それが写真の持つ、本当の力。良い写真はいつも我々に覚醒をうながす。
それが写真の力だと自分はスーザン・ソンダク、ロラン・バルト、伊藤俊治氏の著書から学んだ。
たまちゃんから送られてきたスーザン・ソンダクの書き物について誰が翻訳したものなのか、
初出はどこなのかは解らないが、自分の勝手な判断でゲリラ的にここへ掲載する。
クレームがどこかから出た場合は即、排除する。
以下、先日のニューヨークなどを襲ったテロについて、そのテロをアメリカがどう扱い、どう対処しようとしているか。
そういう内容。
時間あれば読んでみろ。
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その殺害者たちは卑怯者ではなかった

ショックに沈むアメリカ、論説の誤った一致性驚きのあまり声もなく、
悲しみに沈むアメリカ人であり、 ニュ−ヨ−ク人でもある、この私にとって、
この前の火曜日という日ほど、巨大な現実がわれわれの頭上から崩れ落ちてきたあの日ほど、
アメリカという国がその現実の姿から、これほどまでに、大きく遠くかけ離れてしまったように感じられた日はなかった。
起こった出来事と、その出来事の受け止められ方と、 理解のされ方の間におけるアンバランスは、
すなわち一方では、ほどんど総ての政治家たちと(NY市長のジュリア−ニを例外として)
他方においては、テレビ解説者たちが (Peter Jennings を例外として)
まったくひとりよがりのナンセンスな言葉や、
恥を知らずの欺瞞に満ちた発言ばかりに終始していたという状況は、
私の心を不安に陥
らせ、重く憂鬱にさせるに十分過ぎるほどであった。
この出来事を解説する( ことができる権限を持った )声というものは、
あるひとつのキャンペ−ンを展開させようとひそかに示し合わせているのか、とさえ私には思えた。
彼らの目的とは世間一般を、これまで以上に愚民化することである。
今回の出来事は、”文明”や”自由”、”人間の尊厳性”または”自由社会”に対する”卑怯”な攻撃などではなく、
アメリカ合衆国に、世界で唯一の、自称最強国に向けられた攻撃なのであるという自明の事実を、
どうして認めないでのあろうか ?
この攻撃は、アメリカという国がとった政治、国家利益の追求とその行動によって導かれた結果であることを、
なぜ認めようと しないのであろうか ?
アメリカが、現在も、イラクへの爆撃を続けていることを、果たしてどれだけのアメリカ人が知っているのであろうか ?
もし、”卑怯”という言葉を口にするのであれば、その言葉はむしろ、
報復爆撃を空から行う者に向けられるべきであって、
他の人間を殺すためには、自らの命をも断つことを覚悟した者に向けられるものではない。
もし、われわれが勇気について、この唯一の、道徳的な見地からみて中立である美徳について語るのならば、
暗殺者たちを、− たとえ、彼らをどのように呼ばわろうとしようとも −、
彼らたちを卑怯であると非難することはできない。
われわれの政治リ−ダ−たちは、声を揃えて、すべては 正常な状態にあると信じ込ませようとしている。
いわくアメリカは何も恐れてはいない。 われわれの精神は不屈、不変である。
”彼ら”を探し出し、”彼ら”に罰を与えるであろう。(誰がその”彼ら”であろうとしても)
アメリカは、これまでと同じように真っ直ぐに、揺らぐこと無く立っていると、
まるでロボッ
トのように国民の前で、何度も、何度も、繰り返して述べる大統領がこの国にはいる。
つい最近まで、ブッシュ政府の外交政策を激しく批判して いた公務に携わる多くの人物からは、
いまや、ただひとつだけの声が聞こえるだけである。
それは、彼らが、アメリカの全国民と一緒になって、全員一致して、
恐れることなく大統領を支えていこうという 声である。
テレビの解説者は、われわれが死を悲しむ人々のために、
心の支えとなるべく?命になっていると報じている。
当然のことながら、国際貿易センタ−の中で働いていた人々が、
どのような変わり果てた姿となってしまったかを伝える、戦慄を起させるような画像はわれわれの目には示されていない。
そのような画像は、われわれを意気阻喪させるだけであろう。
ようやく、2日が経過した後の木曜日になって(ここでもジュリア−ニ市長は例外であったが ) 初めて、
犠牲者の数についての公式発表がなされた。
あの火曜日は卑劣な行為があった日として、歴史に記録されることになり、
アメリカが再び戦争に直面した日とされているにも かかわらず、
国民には、すべては正常な状態にある、または、
少なくとも、正常な状態に戻りつつある、とアナウンスされて いたのである。
何いったい正常な状態であったと言えるのであろうか ?
そして、今回の出来事は、あの真珠湾とは何ひとつとして 共通するものなどありはしないのだ。
いま、最も真剣に反省され、考慮されなければならないことは、
おそらく、すでにもうワシントンやその他の場所で始まって いることではあろうが、
アメリカ諜報機関が露呈した とてつもない無能さぶりと、
特に近東における、これからの アメリカの政策の在り方と、
それと、この国における きちんとした軍事上の防衛計画についてである。
しかしながら、はっきりと判ることは、
この国の指導者たちは、それは、いま現在職務についている者、
その職務につこうとしている者、また、かってその職務にあった者らを総てをふくめて −、
唯々諾諾としたメディア、マスコミの力を借りて、一般大衆にはあまりに多くの事実は知らしめまいと、
心に決めていることである。
かって、われわれは、ソビエトの政党大会において聞かれたような
全員がこぞって拍手賞賛し、
自分たちだけが正しいとする
月並みな発言を軽蔑し、さげすんでいた。
ここ数日のメディア、マスコミにおける、ほとんど総ての政治家と解説者たちの口から出てきた、
いかにも信心家ぶった、現実の姿をゆがめた美辞麗句による画一的な一致は、
民主主義にはふさわしくないものである。
またさらに、わが国の政治指導者たちは、彼らが彼らに与えられた仕事とは、
世論を操作することであると理解していることが明らかになった。
それは、国民の信頼を得るための操作であり、
死者への悲しみと苦痛を上手に処理するための手際である。
政治は、ひとつの民主主義におけるこの政治は、意見の不統一と、矛盾を結果としてもたらし、
率直さを促進させながらも−、精神療法と取って替えられてしまっている。
われわれを共にして、死者を悲しまさせんことを。
しかし、われわれを共にして、愚行に身を任せることの無きことを。
ほんの僅かな歴史に対する意識が、
すでに起こった出来事とこれから起こるであろう出来事へのわれわれの理解を 助けることであろう。
わが国は強力である ”この言葉は、すでに何度も、何度も繰り返し聞いた。
私には、この言葉はちっとも慰めにならない。
いったい誰が、アメリカは強力であることに疑いを持つというのであろうか ?
しかし、現在、アメリカが示すべきものは、 ただその強さばかりではあるまい。                                                 
ENDE SansスSontag はアメリカの作家、1933年生まれ。

事件が起こった9月11日、アメリカン・アカデミ−の招待客としてベルリンに滞在。

NYへ帰るフライトを待つ間に、この寄稿を作成。原文は英語。

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