7/27/2008更新
「今週のポラ」 vol.29
 ショコラ・クラブとアンジェリーナのチョコレート

ここに写っているチョコレートは
アンジェリーナのものではない

本当は今回メインの話題になるはずだった
ショコラ・クラブ・ジャポンから
ちょっと前に送られてきたモノである
ベルギーのマルコリーニの新作
超薄型ショコラ、パレ・ファンというらしい

ショコラ・クラブ・ジャポンというのは
元々パリにあった同名のクラブの日本版
畑さんという粋人が趣味・非営利でやっている
毎年寒くなる11月終わり頃から
暖かくなる4月初め頃までの期間に数回
パリを中心にヨーロッパの「これぞ」というお店の
おすすめのチョコレートを10粒ほど
宅急便で送ってくれて試食し、その評価を葉書で書き送る
ちょっと変なクラブなのだ
普通、日本では食べられない逸品・名品が多く
チョコレート・ラヴァーにはたまらないクラブでもある
一回あたりの費用は約¥3500
チョコと一緒に送られてくる会報は綴じておけば
立派なチョコレートの専門誌になるほど興味深いないようだ
一粒¥300を高いと思うかどうかは別にして
興味のある人は
アクセス先を下に書いておくのでどうぞ
470-2102愛知県知多郡東浦町 緒川字ショコラ 1-102
ショコラ・クラブ・ジャポン
ファックス0562-35-4163

いずれにしても、今シーズンはもう終わったので
美味しいチョコレートを口に出来るのは
今年の秋も終わりに近づくころなんですが・・・

アンジェリーナのチョコレートを撮ろうと
さっきから、いろいろ試みているのだが撮れないでいる
なんだか気持ちが重いのだ
そのチョコレート
昨日、持ってきてくれた23歳のお嬢さん
卒業旅行で立ち寄ったパリで
もしかしたらボクがウェブに書いたアンジェリーナのモンブランのこと
覚えていくれて?
その店のチョコレート
お土産に買ってきてくれたのかもしれない
背が高くて、綺麗で、おまけに頭もいい
もっとおまけに気立てもいい
ボクのお気に入りのモデルさん
その人が東京へ行きたいと言っている

そのことを考えていて・・・何度も何度も頭の中で反芻していて
その気持ちを
チョコレートの写真に込めたいと思って
・・・そして、写真が渋滞している

若い人
何かの分野で秀でた才能がある人
才能を花開かせたいと思っている人々
特に、芸術とか芸能とかそういう分野を目指す人は
東京をとりあえず目指す!
とりあえず、と言ったのは
その後、世界を目指す人も
何パーセントかはいるかもしれない
もっと、身近なボクの属している業界
写真を撮ったり、撮られたり
その化粧する人
髪結いする人
服を作る人、組み合わせる人
写真をレイアウトしたり
文字をデザインしたり、絵を描いたり
ホームページを作ったり・・・宣伝する仕事の業界
この業界は、名古屋にいても食っていくことは出来るけれど
本屋の店頭を飾る有名な雑誌に載っかることは難しい
・・・不可能ではない!

かくいうこのボクも
二度、東京へ行こうと思った
一度目は、18歳の時・・・この時は実行した
高校を卒業して、受験する気はとうに失せていたが(もちろん学力も!!)
親には、受験勉強のためにと仕送りを頼み
かの東京で、今で言う「プータロー」してた

正確に言うと
東京へ行く前に千葉の三里塚というところへ行った
そこは今成田空港になっているところだ
先ずは、戦争ごっこをやってみた

2年目には
受験する気がないこと、親にばれ
仕送りを止められた
今で言う「フリーター」に出世した
一ヶ月働き、一ヶ月遊ぶその暮らしは続くわけもなく
名古屋へ出稼ぎに戻ってきた
三食・風呂も洗濯も付いた家から通えるバイト先へ

東京・赤羽の陽の当たらぬ、四畳半のアパート
その家賃、一年間は払い続けたが
一年ぶりに舞い戻ったその東京で
六本木スタジオという名門・貸スタジオのライトマン
一週間で夜逃げして・・・
その時、同時に引き払った

二度目は名古屋で勤めていたスーパー・チラシ・写真スタジオをやめる時
独立するには、何処で始めるべきか?
恵那のメクラの和尚さんに聞きにいって
そのご託宣に従って、あっさり名古屋に落ち着いた
・・・まあそれはどうでもいい
大手広告代理店の写真部長さんに呆れられはしたが・・・
今ではそんなに後悔していない
今、毎日遊んでいるスタジオが
そんなにたいしたモノだとは思ってないが
こんなにわがままなスタジオを、東京に居ては
使えなかっただろう
そして、人生の後半・第四コーナーを回りかけたこの歳になって
「まぁ、そんなもんさ」と思い始めている
if・・・「東京に行っていたら・・・写真集とか出版していたかもしれない」
で、ボクの人生は変わっていただろうか? 
ifはないね・・・一緒だ、結局

東京に人々を集める「魔力」への不信感もある
とても異論ありそうで、反論、山ほど喰らいそうだが・・・
東京のこの業界の価値観の基準がお金と名声と欲望に見えてしょうがない
「この時代、何処に居たって、みんなそうさ」と言ってしまえば
その通り
ニューヨーク以外の土地に住むアメリカ人が
ニューヨークに対して持っている気持ちと
似ているかもしれない

ボクに限って言うと
生まれ育ったこの土地の地縁のようなモノが
何か、拝金主義的なだけの価値観に飲み込まれない抑制因子として
働いている・・・
名古屋という地方都市には、まだそういう抑制因子が働く余地が
ほんのすこしある
もちろん東京人にも・・・(東京人には)
その土地を大切にする、拝金主義的な価値観に抵抗する力はある
その力は
その街に生きるという覚悟を含めた、決意からくるのではないか?
宗教やら 道徳やらから自由になった・・・戦後の拝金主義的価値観
東京の何もかも・誰も彼もを
吸引するその力の奥に
そんな価値観の影が見え隠れする

もちろん若い、何かをそしてその頂点を目指す人が
東京やニューヨークを目指すことを
止めようとは思わない

逆に
これも反論・異論を山ほど頂きそうな、物言いなのだが
こと、自分の職業分野・写真に限って言うと
東京で勉強しようと
試みることさえなく
この土地で写真を続けている若い人に
ボクは魅力を、感じにくいのである

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